形成外科について
形成外科は、ひとことで言うと「目に見える部分の外科」です。けがや腫瘍、身体の不具合や変形に対して、手術で解決を試みることを専門としています。さらに、ただ治療するだけではなくより綺麗に治す、ということを特に大切にしています。機能的にも整容的にもより良い状態にすることで、皆様の「生活の質」の向上に貢献できれば幸いです。
当院では以下の疾患について保険診療を行っています。
眼瞼下垂
眼瞼下垂とは、まぶたが開きにくくなった状態のことをいいます。生まれつきまぶたを挙げる筋肉の力が弱い先天性眼瞼下垂と、後から徐々にまぶたが開きにくくなっていく後天性眼瞼下垂があります。
加齢にともなって多くの方が眼瞼下垂になりますが、ハードコンタクトレンズの長期使用や白内障の手術、花粉症やアトピー性皮膚炎で目をこすることが原因で、より若い年齢でも眼瞼下垂を生じます。眼瞼下垂が進むと視界の上の方が見づらくなるため、車の運転がしにくい、読書やテレビを見るのがしんどい、など日常生活に支障がでてきます。また、おでこの筋肉を使って眉毛を挙げることで眼瞼下垂を補おうとするため、頭痛や肩こりを生じることもあります。これらの症状は手術によって改善が期待できます。
睫毛内反・眼瞼内反
いわゆる逆まつ毛で、本来外側に向かって生えているまつ毛が内側を向いており、まつ毛が眼球に当たっている状態です。目がちくちくする、ごろごろした異物感があるといった自覚症状があり、症状が強い場合は眼球の表面に傷がついて視力に影響することもあります。上眼瞼よりも下眼瞼のほうが、日常生活で支障が出ることが多くあります。いくつかの手術方法があり、状態によって術式を選択します。
顔面神経麻痺
顔面神経は、顔の表情を作る筋肉を動かす神経です。ウイルス感染後や耳下腺の手術などで顔面神経が傷ついてしまい、表情筋が十分に動かない状態が顔面神経麻痺です。ほとんどの場合は片側のみが麻痺になるため、表情が左右非対称になります。また、まぶたが閉じない、眉毛が上がらない、食べ物が口からこぼれてしまう、といった症状を生じます。表情筋の運動を回復させることは非常に難しいため、困っている症状を軽減させるような手術を行います。
眼瞼痙攣・片側顔面痙攣
眼瞼痙攣は、まぶたを閉じる筋肉が勝手に収縮してしまい、目が開けにくくなる状態です。初期には片側だけのこともありますが、多くの場合は両側に生じます。片側顔面痙攣は、顔面神経が脳から出てくる通り道で刺激を受けて、片側の表情筋がぴくぴくする状態です。いずれも目が開けにくくなるため、日常生活に支障が出ます。完全に治すことは難しいため、筋肉の動きを弱める注射を目の周りや頬部に打つと、症状が緩和されます。
顔面・からだのけが、やけど
けがを治すことは、簡単なようで奥が深いです。けがの種類(切り傷、擦り傷、咬傷、やけどなど)、傷の深さ、体の部位などによって、適切な対処方法が細かく異なります。共通していることは、「早く対処すること」「清潔にすること」「安静にすること」です。
けがは突然に生じるものですので、予約がなくてもできるだけ診察いたします。受診前にお電話でお知らせください。
きずあと・肥厚性瘢痕・ケロイド
けがや手術の後には傷痕が残ります。現時点では、傷痕をまったくなくす技術はありません。深い傷や、治癒に時間がかかった傷は目立つ傷痕になりやすく、見た目の問題だけでなく傷痕の痛みやかゆみといった症状を生じます。傷痕の治療は、飲み薬、貼り薬、注射、圧迫療法、手術があり、症状や生活スタイルに応じて治療方法を選択します。
皮膚・皮下腫瘍
皮膚や皮下の腫瘍でよく見られるのは、一般的に「ほくろ」「いぼ」と呼ばれるもの(色素性母斑、尋常性疣贅、脂漏性角化症、軟性線維腫など)、「しこり」として触れるもの(粉瘤、脂肪腫、脂腺嚢腫など)があります。多くの場合は手術で取り除くことで治ります。診察時には、皮膚を拡大して観察できるダーモスコピーや、皮下の様子を知ることができる超音波検査を行い、腫瘍の種類をできるだけ正確に診断します。この際にもし悪性腫瘍の疑いがある場合は、必要に応じて専門的な治療を行う病院を紹介いたします。また、手術を行う場合は、腫瘍の性質や自覚症状に応じて手術方法を選択します。(一部に健康保険外の治療方法もあります。)
あざ・太田母斑・異所性蒙古斑
あざは、皮膚の色が周囲の色と異なる部分のことで、青あざ、赤あざ、茶あざなどの呼び方があります。ごく一部のものを除いて治療の必要はありませんが、あざの種類によっては健康保険でレーザー治療を行うことができるものがあります。
巻き爪・陥入爪
爪が弯曲して皮膚を圧迫している状態が巻き爪、爪が当たっている部分に傷ができている状態が陥入爪です。ほとんどの場合、足の第1趾に生じます。爪の切り方の問題や、爪に外からかかる力、骨の変形などが原因です。陥入爪に対しては、フェノール法という手術で治療します。
胼胝・鶏眼
いわゆるタコ・ウオノメです。足の裏の同じ場所に刺激がかかり続けるとその部分が分厚く硬くなっていきます。足の形と骨の問題なので根本的に治療することは難しいですが、体重がかかったときに痛いような場合は、タコ・ウオノメを削ることで症状が軽減します。